粒子分散と微粒子分散の違いを正確に把握するには、粒子の特徴はもちろん、製造方法にも注意する必要があります。
そこで今回は、粒子分散と微粒子分散の違い、特徴や仕組みをわかりやすく紹介します。ぜひご活用ください。
粒子分散と微粒子分散の違い
粒子分散と微粒子分散の違いは、対象となる粒子の大きさによって決定します。まず、分散という状態を正確に知っておきましょう。分散とは、液体の中に粒子が混ざっている現象のことです。
この際、ベースとなる液体のほうを分散媒、そこに混ざっているものを分散質と呼びます。
さらに、分散の中でもきわめて細かい粒子を微粒子として扱います。微粒子が分散質として混ざっているのが微粒子分散で性質が変わるのです。
微粒子は、nmレベルの非常に小さなサイズで、通常の粒子より沈殿しにくいのが特徴です。
これは、分散媒の粒子によるランダムな動き(ブラウン運動)の影響を受け、沈降しにくくなるためです。
微粒子の場合は、少ない添加量でも均一に分散しやすいという利点もあります。
粒子分散と微粒子分散の違いは、扱う粒子の大きさです。
なお、現代では微粒子の技術が進化した結果、食品のほか、工業や医療など、幅広い分野でよく使われています。
2種類に区分けされる製造方法
粒子分散は、大きく分けて2つの製造方法に分類できます。1つ目は、塊を外側から力を加えて崩していく方法で、トップダウン法と呼ばれます。
また、粉砕法やブレークダウンプロセスもトップダウン法として扱われます。
μmから数十nmまでの大きさに適しているのが特徴です。
2つ目は、溶液から粒子を得る方法です。ボトムアップ法や化学合成法、ビルドアップ法とも呼ばれます。
1μm未満の大きさなら、ボトムアップ法が適しています。
基本的に微粒子の場合はボトムアップ法が合っていますが、製造コストや生産量などでトップダウン法を選ぶこともあるようです。
また、分散媒が液体の場合は、分散質によって3つに分けられます。
分散質が液体の場合はエマルションです。
固体が液体に混ざっている場合はスラリーとされます。粘度や沈降性などを考慮する必要があり、取り扱いに工夫を求められる場合もあります。
固体が液体に分散しており、高い粘性を持つものはペーストです。
このように、分散質によっても扱いが異なります。
3種類の粒子のつながり状態
粒子分散は、粒子のくっつき具合で3種類に分けられます。1つ目は、弱い凝集です。粒子同士がゆるく接触している状態を指します。粒子の隙間が多いのが特徴です。
2つ目は、軟凝集です。粒子がネットワークのようにつながっている状態を指します。
3つ目は、凝集です。粒子同士がしっかりとくっついている強固な状態になります。
これらは、目的に応じてコントロールされます。
たとえば、きれいな水を手に入れる場合は、水という分散媒と分散質を分離させる工程が発生するため、凝集状態のほうが望ましいでしょう。
反対に、印刷塗料といった、どの部分でも均一な色にしたい場合は、弱い凝集といったできるだけ粒子が分離しているほうが好ましいといえます。
粒子のつながり度合いは3種類あり、用途によってコントロールするものです。
浮上と沈降
粒子は、分散媒の「どの位置に集まりやすいのか」でも分けられます。これは、分散媒と分散質の密度差によって起こる現象です。
分散質のほうが軽い場合は、分散媒の上部に溜まります。反対に、分散媒より分散質が重い場合は下のほうに集まるのです。
分散媒と分散質の比重によって、粒子が落ち着く場所が異なります。
粒子自体の重さによっても現れ方が異なるため、覚えておきましょう。
粒子分散の評価方法
粒子分散では、最初に粒子が濡れて解砕(かいさい)が起きて、その後安定化するのが一般的な流れです。解砕とは、粒子がくっついて固まった状態を元に戻すことを指します。再分散する工程ともいわれます。
一方で、粉砕とは粒子そのものを砕いてサイズを変えてしまうことを指すため、意味が異なることに注意しましょう。
安定化とは、分散質が均一に混ざっている状態を指します。
これらを分析し客観的なデータにすることで、品質の改善や性質把握が可能になるのです。
また、評価方法には複数あります。
濡れ
濡れとは物体の表面が固体から液体に替わることを指します。粒子を集めたところに液を数滴たらすことで、濡れるのか判断するのです。
さらに、液体に粒子を入れることで、実際の反応を確認する場合もあります。
濡れの性質は粒子の大きさ以外に、表面の状態や穴といった要素も関わります。
つまり、同じ種類の粒子でも、表面の細かさで性質が変化するのです。また、水になじませる溶剤を入れても濡れは変化します。
濡れの度合いを測る場合は、一緒に入れる溶剤も検討する必要があるでしょう。
大きさ・形・位置
粒子分散を評価するうえで、もっとも重要なものが粒子自体のデータです。大きさ・形・粒子の散らばり具合などを評価します。
粒子の形が球体なら、どこから測っても大きさは同じです。
しかし、粒子は必ず球体とは限りません。棒や針の形なら長さ、太さが異なります。形状が球体でない場合は、画像情報といったもので補足していくのです。
また、計測する装置によってもデータの意味が異なります。
多くの装置では、量を測り、計算式を使って球体として考えた場合の大きさをベースにします。たとえば、昔から使われているストークス式では形状を考慮しないため注意が必要です。
正しい評価をするなら計測機器の特性を把握することも重要です。
電気的性質
液体の中に混ざっている粒子表面の電気的性質は、凝集にかかわる要素のため重要です。粒子表面がプラスの場合、周囲にある分散媒のマイナス部分が集まって層になります。
直接粒子の電気的性質を調べられないため、その周りにある層(分散媒)を調べるのです。間接的に調べることをゼータ電位といいます。
電気の性質は、同系統なら反発、違うならくっつく反応が確認できます。
これが凝集を起こしやすいか判断する材料になるのです。ゼータ電位が高く反発力が大きいなら安定しやすい素材として扱います。
ゼータ電位が低いまたはゼロで反発する力がない場合、凝集しやすいと判断されます。
レオロジー評価
レオロジーとは、物質の流れ方や変形のしやすさを示す性質です。塗料の入った缶に刷毛を入れると、最初は大きな手ごたえを感じるものの、次第に柔らかく力を込めなくてもよくなるでしょう。
これらを客観的に判断できるようにするのがレオロジー評価の内容です。
粒子の流れにくさ(粘度)や弾力性を評価します。水は流れにくさが低いものです。ゲルと呼ばれるものは、流れにくさに加えて、弾力があるものとして扱われます。
凝集状態に外力が加わると弱い凝集や軟凝集に変わっていきます。レオロジー評価では、この変化をさせるのにどれくらいの力が必要なのかを数値化します。
分散安定性
分散安定性とは、分散後の状態変化の少なさを示す指標です。エマルションは、時間経過で粒子の分布や凝集度合いが変わっていきます。
混ざった直後は粒子が均等だったものの、時間が経過すると沈殿したり、分散媒の1か所に集まってしまったりします。
これは、重力の働きが関係しているのです。分散媒と分散質で比重が大きく異なると、沈殿や浮上が発生しやすいのです。
また、分散媒が流れやすい性質(粘度が低い)状態や、分散質の粒子が大きい時も起きやすいといえます。
1か所に粒子が溜まった場合、凝集したり大きな塊になったりします。
このような状態になると見栄えはもちろん、食べ物なら風味や食感が変わってしまうため注意が必要です。
まとめ
粒子分散と微粒子分散の大きな違いは扱っている粒子の大きさです。微粒子は非常に小さいサイズの粒子を指します。分散という現象でも、大きさによる違いがあります。微粒子は液体の中で均一に分散しやすいため、時間がたっても沈殿や浮上といった現象が起こりにくいのです。
また、製造方法にも違いがあります。塊を細かくしていくトップダウン法は粒子の製造に適した方法です。溶液から粒子を得るボトムアップは微粒子に適しています。
ただし、製造費用や1度に作り出せる量などを考えると、トップダウン法を優先することがあるため、どれが最適か見極める必要があるでしょう。
今回の記事を活用して、粒子分散と微粒子分散のイメージをつかんでください。